センター北駅から10分も歩くと、昭和にタイムスリップしたかの感覚を味わえる場所がある。勝手に尾根のみちと名付けている、早渕川左岸の段丘のキワを行く細道がそれ。
地下鉄の車窓からは、大塚歳勝土遺跡公園、大規模マンションが竹林の上に浮かんでいるような光景が見られるが、それから先南山田まで緑に覆われた崖線が続いている。
大棚町もそうだが隣の牛久保東3丁目、南山田町は市街化調整区域、港北ニュータウン開発からは少し距離を置いた地区だ。だからなのかはわからないが、このエリアを歩くと、育った環境とは似ても似つかないのに、昔歩いたような感覚にとらわれる。既視感だけでなく、妙になつかしさがこみあげてくる。
なんといっても白眉は「木の電信柱」だ。
これはもう文化遺産として奉りたい位のものだ。こんな風景がニュータウンのすぐ隣にあることは奇跡じゃないだろうか。もっと評価されてもよさそうなものだと常々思っている。ただ一つの点を除けば…。
それは前に紹介した勝田からの眺めを損なっている施設の裏手にあたる辺り。10年ほど前まで斜面の樹林地の周辺には、マント植物がまるで見本市のように繁茂していた。生態系観察の絶好の場所だったので、観察会のテキストにも登場してもらっていたのだが、施設建設と共にあえなく消える運命となった。
建設計画時に緑化は必須とされていたので「木」は植えられた。現在はフェンス沿いにカイヅカイブキが植えられている。見晴らしは良くなったものの、エビヅルやサルトリイバラの実もスイカズラの香りも無くなってしまったのがなんか惜しい。
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